がん予防の手段は、一次予防、二次予防、三次予防の3つに大別されています。
一次予防とは、食事や運動といった生活習慣の改善などによってがんにならないようにすることを指します。
二次予防はがんを早期に発見・治療し、がんによる死亡を防ごうというものです。
またがんを発症して治療した人が、その後の転移や再発を予防する手段を講じることを三次予防といいます。
一次、二次、三次すべての段階で特に大切なのが「免疫力」です。免疫系は、「神経系」「ホルモン系」と並んだ健康3大要素のひとつ。これら3つは互いに支えあい、影響を与えあっています。
つまり、3つの要素をまんべんなく鍛えることで免疫力をアップさせ、病気にならない強いからだを作ることができるのです。
がんを抱えた人の多くは、免疫力が低下しています。とくに抗がん剤や放射線による治療では、がん細胞だけではなく正常な細胞にもダメージを与えるため、こうした治療を受けた人はよりいっそう免疫力が落ち気味になります。
免疫力を活性化させる最も効果的な方法は、食事内容を変えること。免疫力アップに効果的な食材を取り入れたバランスのよい食事を心がけましょう。
抗酸化力が高く、リンパ球の働きを活性化させてくれるファイトケミカル(植物に含まれる色素や香り、苦味成分)を積極的に摂るといいでしょう。ファイトケミカルには、ポリフェノール(苦味成分)やアリシン(匂い成分)、イソチオシアネート(辛味成分)、スルフォラファン(辛味成分)など、さまざまなものがあります。
また、免疫の要である白血球は、たんぱく質から作られます。魚介類の中でもアジ、サバ、イワシなどの青背魚には、良質のたんぱく質がたっぷり。DHAやEPAといった血液をサラサラにする不飽和脂肪酸も含まれています。ただし加熱調理すると酸化しやすくなるので、お刺身や酢の物で摂るといいでしょう。
なお、肉類も良質なたんぱく源ですが、脂質を摂りすぎてしまいがちです。脂身の少ない部分を選び、たっぷりの野菜を組み合わせるなどのくふうを。脂肪酸の中でも不足しがちなω-3系多価脂肪酸の亜麻仁油やえごま油をドレッシングに使うようにすると、脂肪酸のバランスが整います。
脂質の中には、免疫系に対してマイナスに働くものも数多く含まれています。がんの患者さんは脂質の種類に注意を。コーン油、サラダ油などのω-6系と呼ばれる油は摂り過ぎないようにします。また、トランス型の脂肪酸を多く含んでいるスナック類も避けたほうがいいでしょう。
白く精製された白米や白砂糖も、免疫力アップを妨げてしまうことに。少し玄米を混ぜたごはんや、黒糖で代用しましょう。
また、がん細胞の栄養の基になってしまいますので、夜遅くの甘い物は控えるようにしましょう。
なお、消化器系のがんの開腹手術をした人は、食物繊維の摂り過ぎに要注意。「からだにいいから」と多めに摂っていると、十分に回復していない消化管に過剰な負担をかけてしまいます。主治医に相談しながら、食事内容を決めていくようにしましょう。
必要な栄養を食事から摂ることができれば、理想的です。しかし忙しい生活の中で、ビタミンやミネラルは不足してしまいがち。確実に免疫力を上げ、がんを予防するためには、サプリメントによる補充は欠かせません。
なお、サプリメントはそれぞれ適した量がある程度決められています。がんを治したい一心で過剰摂取すると、成分が過剰に蓄積して好ましくない副作用が出ることも。サプリメントといえども使用上の注意は厳守してください。サプリメントの知識が豊富な医師や薬剤師に相談してから始めるといいでしょう。
がんの患者さん向けのサプリメントを紹介します。
中国原産のキノコ。βグルカンの作用の他、サイトカインの産出を促進する働きなどもあります。
ビタミンとは酵素の働きを助ける「補酵素」のことですが、水に溶けやすい性質の「水溶性ビタミン」と溶けにくい性質の「脂溶性ビタミン」に分けられています。特に「水溶性ビタミン」のビタミンB群は様々な酵素と共に食品の分解を助ける欠かせない成分です。
B1は糖質を分解しエネルギーの代謝となります。B2とナイアシンは脂質・糖質、B6はタンパク質の代謝を促進し、B12は赤血球をつくる因子となります。水溶性ビタミンは摂りだめができませんから、日々、食品やサプリメントでバランス良く摂取することが大切です。
亜鉛は、新陳代謝に必要な多種類の酵素をつくる成分になる、タンパク質の合成や、遺伝子の情報を伝えるDNAの転写に関わるなど、細胞の生まれ変わりの活発なところに必要とされる栄養素です。皮膚や粘膜を正常に保ち、不足すると味覚障害を引き起こしたり、免疫の低下につながります。
酸化防止酵素を活性化する微量元素です。免疫系の白血球の活動を高め、健全な免疫機能のためにとても大切な役割を果たし、老化やがん、動脈硬化の原因となる活性酸素などを無毒化する成分があり、甲状腺を正常に機能させるホルモンの代謝にも作用します。
乳酸菌とは、糖類を分解して多量の乳酸をつくる細菌の総称です。整腸作用などで良く知られていますが、実際の働きには腸内での有毒物質を作り出す病原菌を抑える抗菌作用や、発がん物質を合成を妨げる抗がん作用、ウィルスなどに抵抗する免疫増強作用などがあります。
酵母は、糖質を分解する細菌です。腸の中の善玉菌をサポートし、腸内環境を整える働きがあります。また、免疫力を高める効果も期待できます。
ストレスがたまって神経系の働きが乱れると、免疫力も徐々に低下していきます。がんを抱えている患者さんのストレスは、相当大きいもの。がんの治療と平行して心身を落ち着かせるイメージ療法を行うことで、ストレスを軽減し、前向きに治療に取り組むことができるようになります。
アメリカの心理社会腫瘍学医であるサイモントン博士が提唱した「サイモントン療法」も、効果的なイメージ療法のひとつ。患者さんにさまざまな面から問いかけをし、患者さん自身が自らの生き方を見つめ直すよう導きます。一連の作業を行うことによって、免疫力が上昇し、病気の進行を抑える効果が期待できるとされています。
サイモントン療法は、アメリカの心理腫瘍学の権威カール・サイモントン博士が開発したがん患者さんとそれを支える方々のための心理療法です。
患者さんの多くは日々の治療の中で生み出されるストレスによって免疫力が徐々に下がっていきます。病気や症状の事だけを考えるのではなく、その方の心のあり方、人生全体を見つめ直す作業によってストレスを効果的に解消し、本来あるべき生きる力を生み出すことを探索する癒しのプログラムです。
希望を持って治療に当たる人と、絶望感に苛まれながら治療を受ける人では病気の回復に大きな差が出ています。心と体は一体であり、物理的な治癒だけではなく、心の問題を取り払わなければ本当の完治とは言えません。
「サイモントン療法」はカール・サイモントン博士からトレーニングを受け、正式に認可を受けているセラピストのみが行うことを許可されています。
このプログラムはサイモントン博士本人、又は認定スタッフの直接指導のもとに行われ、クオリティーが保障されています。「自分の本性へ戻るためのメッセージ」をモットーに参加者が安心感を持って出来る環境プログラムとなっております。
人生に喜びや充足感、心地よさをもたらすものに取り組んでいる時の自分を本性に近いものとし、より多くの時間をそれらの活動に取り組むよう働きかけ、生命エネルギーを高める。また、それらに対する障害を確認する。多くの場合、障害は不健全思考・信念に起因する。
ストレスを解消するための核ツールとなる。否定的感情を起こす信念(思い込み・思考・解釈)に目を向け、モルツビー博士の質問表に沿って査定し、不健全な判定の部分を健全な信念に置き換える。
がん、自然治癒力、治療を絵に描くことで視覚化し、その効果を認識、増強する。
がんの発生にさかのぼり、どの様なストレスがあったかを振り返り、自らのパターンを知る。病気がもたらす二次的恩恵とその要因を認識することで、自身への労わりと優しさを学ぶ。
希望と執着を区別する。希望を持つこと、自分の内なる叡智に耳を傾け行動することの大切さや、スピリチャリティー(霊性)に関する健全な信念について取り組む。
死に対する健全な信念を抱くことにより、死に対する恐怖と絶望感を取り除く。死についての哲学的、宗教的、霊的観念について取り上げ、生きる希望、日々の質を高めることを目的とする。
「サポーターが患者に期待する結果」ではなく「患者自身が出したい結果」を周囲がサポートする、真のサポートと効果的コミュニケーションについて取り組む。
治癒力が高まる、治療の効果が高まる、病気が消えていく等の自分が健康になってゆくイメージをもってメディテーションを行う。
自分の本性へ戻るためのプランを6つのカテゴリーに分け具体的に取り組む。